初回にしてまさかのバッカーノ!
ネット上では面白いという評価は多々あれど、一話を見た人間の多くは
「初心者に厳しいアニメだ」
と口々に言います。
二つの意味で心構えしてこの作品に目を通してみたわけですが、
「アニメ作品の見方っつか心構えが間違えていたんじゃねーのか?」
とちょっと思いますね。
あ、ネタバレ・グロ注意です。
で、
多くのアニメを知らない私がこんなことを言うのもなんですが、アニメなんていうのはいわばトンデモ要素が多く内包できるドラマみたいなものでは。
一話が意味わからんとなっているのは
「主人公とは」「ヒロインとは」「アニメとは」かくあるべきだ、
と型に嵌った見方をしているのではないかな、と。
実際初見ながらも私自身は十分楽しむことができたわけで。
舞台は禁酒法時代の1931年アメリカNYから始まります。
ここで始まりますと断言して良いものか測りかねますが、
メインに置かれているのはそこです。
この物語、確かに開始早々メタな展開というべきか後日譚的な語りから入ります。
なかなかに特徴的ですよね。
しかもその話一つ一つに映像的な描写が用いられるので
混乱を呼びやすいのではないかな。と思ってみたり。
話自体はなんてことはありません。二人の語り部がいて、
そのうちの一人、情報屋の副社長であるサンジェルマンが
『この物語』についてなぜここから始まるのか、誰を中心に動くのか。
そういったことを彼の補佐であるキャロルに語りかけるのです。
キャロルもその質問に対し、いくつかの返答をします。
始まりは「分かりやすさ」
主役は「主役っぽい」というなんとも安易で率直な意見から。
こういったふうに返答はするのですが
始まりこそ正解であれ、この物語に『主人公』などおりません。
個人的な意見を口にするなら言うならば、
この物語そのものが主人公のようなものだとは考えております。
この物語の原作は群像劇でございますゆえ、視点がせわしなく動きます。
しかしこの一話は特にその色が強いというか、
アニメを見る人間を選ぶようになっているのではないかな。
例えばこんなシーン
『あるマフィアグループ(ここではAと呼ぶ)の襲撃により
夥しい数の銃弾が跳び、爆発が起きる。
その後ろには禁酒法、貧困の苦しさ対比するかのような富裕層の豪遊をイメージさせる数々の映像が映し出される』
『Aマフィアからその部下たちへ向けられた演説が始まる』
『どこか別のマフィア(Bと呼ぶ)のファミリー立ちが映し出され、
先程の銃撃を知らせる下っ端が入ってくる』
『演説しているAマフィア幹部にボスからある男を捉えろと命令が降りる』
『襲撃の際、残っていたAマフィアをBマフィアが拷問していると、
知らせを受けて来た男を見て
襲撃したマフィアは「お前はなぜ生きている」と聞き、
きた男は誰が俺を蜂の巣にしたのか教えろと返す』
一話の7分あたりから15分に至るまでのおおよその流れを文で書き表したものです。
語彙や表現力には自信がない私ですが、あるがままを書き記したつもりです。
なんだこれ、と思ったらバッカーノ!一話をご覧下さい。
書き記したままをやっているはずです。
こういった細かい視点変更が初心者に厳しいと噂されるのでしょう。
実際のところ、一話さえ見てしまえば
残りはそこまで激しい視点移動があるわけではないですし
第一のところ、上の一連の流れもマフィアどうしの
抗争を描写したものでしかありません。
これから起きる物語の、ほんの序章でしかないのです。
そして不死者。
この物語におけるキーになるであろう大きな存在です。
読んで次の如く『死なずの者』を表します。
途中キャロルがあげた主役っぽい男フィーロや
私を蜂の巣にした男は誰だと問うたマフィアの男ラックもこの不死者にあたります。
それぞれそれを確証付ける描写が存在します。
一回ではこれしかなかったけど、ほかにもたくさんいるのかも。
少々グロテスクですがフィーロがナイフで指を切られています
ところがこちらでは指が戻って言っています(わかるかな?)
きらーん
ずばっと、耳が切れてますね。痛そうだ。
ところが?(可愛い)
こちらを見ると治っています。
\ツギハ ハトガ デルカモー!/
出ません。
ずぉ!(鳩じゃないですよ)
暗くてよく見えないかと思いますが、上の男にぶっぱなされて
少年が脳漿ぶちまけてます。
ひょえ~
ところがムックリと起き上がる少年。服も同じものを着ていますね。
白いシャツにも血痕一つ残っていません。
穴だらけの本や梯子
白くて見づらいかもですが
凄惨な状況の中、何事もなかったかのように起き上がるラック
ギャグマンガじゃないんだから。
途中に現れる詩
『死者の魂』と呼ばれるエドガーアランポーの詩なのですが
要約すると
「人間は皆孤独だ。だが人はそれを否定する。死んで初めてその事実に気づく」
というようなものです。
死なずの彼はどういった気持ちでこれを読んでいるのでしょうか。
確かに『死というものの恐怖、その緊張』から解放されたということは喜ばしいことなのかもしれませんが……。
こんなある意味プラトニックでアイロニーな繊細な描写の後
蜂の巣です。
俺の小型機関銃が火を噴くぜ!
彼らがいた本屋は見るも無残に穴だらけで本も落ちてしまって山ができているそんな中
二人は起き上がります。
それどころかフィーロは銃撃者を引っ捕えんと駆け出す始末。
おいおい。復活早ェ
そういえばフィーロの登場シーンが少し面白いと感じました。
乞食が街の通りで神の心を謳いながら小銭を求める。
禁酒法の末路なのかわかりませんが、かわいそうな男です。
そこに通りかかるフィーロ、上機嫌だからと一ドル札をたくさん入った財布のうちその23枚かを金を入れる缶に詰め、その場を立ち去ろうとします。
そこで乞食は花をやろうと口で言いつつ、ナイフを取り出し襲いかかります。
卑劣で狡猾な、なんとも人間臭い行動ではありませんか?
目の前に金を持った青年。こちらを気にしている様子もない。
一突きで缶の金の数倍が手に入る。
賭場でうまくいけば食うのに一ヶ月は困らないかもしれない。
細い青年を乞食はつきさそうとしますが、見破られ、手によって止められる。
ナイフを引き、指を切り落とす
すると……ナイフの血が指に戻っていくではありませんか。
指も手に戻っていき、完全に元通り。乞食は化物と罵ります。
この場面は確かに化物性が目立つ部分ですが
ここで向き直り、マフィアのファミリーの一員と知ってのことか、と口上を上げつつ
乞食に報復するわけで
指を切られた方の手で殴る
というのが化物の中の人間らしさを感じました。
まぁ自分の感想なので
そんなわけで(どんなわけだ)
マフィア連中も
アイザックとミリアというお馬鹿そーな二人の『強盗』も
白スーツを着た狂気の男も
呪われた運命を背負う少年も
顔におおきな刺青を持つ少年も眼帯をつけ火傷を負った女も
なんもかんもを乗せて、
大陸横断列車
フライングプッシーフット号は駅を発ちます。
第一話にして色々と言いたいこと言ってみました
次を見るのがいつになるのかはわかりません
それではまた。
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